なぜ「クリリンのことかー!」なのか

もう誰か言っているかもしれないが、なぜタイトルのセリフが名言となるのか書いてみよう。第2形態フリーザとの戦いでの活躍が目覚ましいのだが、特筆すべきは変身直後のフリーザが襲いかかるときである。ベジータも御飯も反応することすらできていない。しかし、クリリンだけは反応し、自分ではなく抱えていたデンデを逃がして自分は直撃を受けている。圧倒的な迫りくるフリーザを前にとっさにこの行動がとれる、自分より他者を優先できる、ということはクリリンの強い善性を示している、と筆者は受け取る。しかも、その後デンデの回復により復活した後はフリーザ気円斬をあて尻尾を斬る、フリーザを前に逃げ回り時間を稼ぐ、などの活躍を見せている。絶望的な力の差を見せつけられて瀕死に追い込まれたのにまだ戦いを続けている。遥か昔に初めて見たときは特に何も引っかからなかったが、強い精神力を感じないだろうか。気円斬が通用して気を良くしていたのかもしれないが。しかし、ただのお調子者がフリーザを相手に正面に立ち続けるというのはやはり並大抵のことではない。クリリンが最長老の元で潜在力を引き出される際に吐露したセリフを思い出してみよう。「ま まさかそんな力なんか残ってませんよ…!さんざん修行したんすから…今でさえもう限界を越えてるくらいなんすよ…!はは……」単純な戦闘力だけならとっくに戦力外のクリリンベジータを遥かに凌駕する敵が死ぬほどいるナメック星を逃げ回るのは相当なプレッシャーであり、神経を消耗させていた違いない。パワーアップを果たしたとはいえ、そんなクリリンを遥かに越える力を見せつけるフリーザの前にどんな気持ちで立っていたか、しかし彼は仲間を助けるためにそうしていたのではなかろうか。DBの中でも抜きんでるドタンバ力である。そんなクリリンを無惨に殺したからこそ悟空はスーパーサイヤ人となったし、フリーザが侮辱した際に「クリリンのことかー!」と激怒するのである。

 

ちなみに筆者は「ま まさか(以下略)」のセリフがDBで最も好きである。今は。苦労や苦悩と無縁で伝説を作り上げてしまった人、と勝手に思っていた方からこのようなセリフがでてくるのは何とも言えない味わいである。おやすみなさい。長い間楽しませていただきました。